業界人が解説!ホームページ制作会社とのトラブル事例
こんにちは、千葉県松戸市のウェブ制作事務所「タドワークス」代表の田所です。
今回はタドワークスにもよく相談のあるホームページ制作会社とのトラブルについて少しお話をしてみたいと思います。
ホームページ制作会社選びの失敗というと制作面でのトラブル等もありますが、今回取り上げるのはさらに深刻な「契約に関するトラブル」についてです。
なぜこれを制作面でのトラブルよりも深刻ととらえているかというと、長い間運用して積み上げたホームページの価値は、初期段階のホームページとは比較できないほどの価値を持つ場合が少なくないからです。
契約面でのトラブルはいざ契約を打ち切ろうとした際に気づくことが多いため、すでに手遅れなケースもあります。初期制作の段階で後の運用まで考慮して、しっかり契約内容を確認するようにしましょう。
こんな契約内容は要注意!
下記のような場合は注意が必要です。
- ①リース(レンタル)契約になっている
- ②ドメインの契約が制作会社名義になっている
- ③制作会社独自のCMS(管理システム)を利用している
心当たりはありませんか?あれば要注意です。
ではこれがなぜ要注意なのか、各項目について説明したいと思います。
①リース(レンタル)契約になっている
リース(レンタル)契約ということは、つまりサイトを借りている状態でサイトの所有権を制作会社が持っているというケースがあります。
月々のお金を支払って利用しているうちは問題になることはないのですが、契約を終了する際にサイトのデータを譲渡してもらうことができずすべて作り直しとなる場合があります。
②ドメインの契約が制作会社名義になっている
ドメインはウェブサイトの本体と言っても過言ではありません。最初のうちは気づきにくいですが、運用期間が長くなればなるほどその価値は増し、代替できないものに育ってゆきます。
手間暇をかけて検索順位を上げたサイトも、ドメインが使えなくなればまた一から評価を積み上げていかなければならなくなります。(旧ドメインからの301リダイレクトに対応してくれる場合は評価の引継ぎが可能です)
またドメイン名が変わるとなると、名刺に記載されたURL、これまで使ってきたメールアドレス、広告や外部サービスに登録したURLの変更など、とても面倒な作業が発生することになります。
ウェブ集客の重要度の高いサービスほどドメインの変更はリスクが大きくなるため、結果的に制作会社から離れることができないという状況に陥る危険性があります。
③制作会社独自のCMS(管理システム)を利用している
制作会社独自の管理システムを使っている場合、そこからのサイトの移管は困難です。
CMSのコンテンツは一般的にデータベースに情報が入っているため、CMSのプログラムがなければページとして機能しません。「コンテンツは御社の所有物です」と言ってデータを渡されたところで、それだけではページとして機能しないため、結果的にほぼ作り直しになるということです。
ウェブブラウザからソースを抽出して再構築する方法もありますが、これはこれでかなり大変ですし、デザイン部分はシステム側の所有物ということでその切り分けが事実上難しいケースもあります。
ホームページ制作会社も収益確保に必死である
表向きの口実はどうあれ、これらはホームページ制作会社がお客さんを逃がさず利益を上げ続けるための施策のひとつと考えられます。
ホームページ制作はひとつのクライアントがそう何度も依頼をしてくる性質のものではないため、新規集客頼みの安定しないビジネスとなりがちです。
フリーランスならまだしも法人でホームページ制作事業を行うのであれば、従業員への毎月の給与支払いもあるので安定した収益源を確保しなければなりません。そこでなんとかひとつのクライアントから毎月収益が発生するしくみを作りたいと考えるわけです。
ホームページ制作会社も生き残りをかけて大変・・・ということと思いますが、かと言って無理矢理収益を発生するような仕掛けを作るというのは感心できるものではありません。
柔軟に関係を変化させられる会社が理想
低価格な個人のホームページ制作者の増加、便利な制作ツールの登場により、受託中心の小規模なホームページ制作会社が生き残ってゆくには現在は厳しい状況にあると思います。
こういった中で、保守的な経営者はいかに既存の顧客から収益を得続けるかという点に着目するかもしれません。この場合経営者は、月額制のサービスを作って一度はじめるとやめづらいしくみを作るといったネガティブな方向での工夫をしてゆくことになります。(携帯電話の契約なんかでもありますよね)
これは経営者のビジネスに対する視野が狭いことをあらわしていると思います。喜ばれないサービスを提供し続けて取引先の信用を失うことが、中長期的な視野で見たときに事業をよい方向に導くとは到底考えられません。
取引先との関係を固定的に考えるのでなく、環境に応じて柔軟に変えてゆく必要があります。
環境が変化してこれまでの関係性に無理が出てきたときにはこれまでも関係を無理矢理死守しようとするのではなく、その環境の中で自分は何を提供できるのか、一緒に世の中に提供できる新しい価値はないかと考えることが重要だと思います。
つまりお互いがハッピーになれる道を探し提案するということです。そうすれば環境が変化しても取引先とまたよい関係を作り上げて行けるはずです。
取引先をビジネスパートナーと考えるというのはタドワークスの理念のひとつですが、この理念を重要視しているのはそれによって環境の変化に直面したときに判断を誤らずに済むと考えているからです。
まとめ
ホームページ制作会社に限りませんが、ビジネスをしてゆく上ですべての会社と良好な関係を築けるとは限りません。環境の変化に応じて関係を変化させてゆく努力をせずに、ただ惰性で現状の維持に固執してしまうような会社も少なくないと感じています。
こういった会社との付き合いは半ば腐れ縁のような状態になってしまって、だんだんと利害の不一致が起き、お互いにストレスが増えてゆくことになる恐れがあります。
そうなると自社の事業にも悪い影響が出てきてしまいますので、どこかで関係を清算する判断が必要になるタイミングもあるかと思います。
ホームページの運用についていえば、ちょっとした更新も依頼しないといけない、依頼すると料金が高くやりとりに時間がかかるので、スピード感を持った施策が打てず放置状態になってゆく・・・などの状況に陥ることが考えられます。
こうなるとホームページを持っている意味がなくなってきてしまいますので、こういった状況にある方は早めにホームページ制作会社を変えてみることで状況が一変する可能性もあります。