サラリーマンの副業・兼業、理想と現実
副業解禁。理想と現実
2018年は副業解禁元年として話題になりました。
政府が副業・兼業を推進する意志を明確にしたのです。
しかし、現実はというとなかなか副業・兼業が浸透しているとは言い難いのではないでしょうか?
どんなに政府が副業・兼業を推進したとしても、一般的なサラリーマンにはなかなか手を出すことが難しいのです。
副業・兼業の有用性とは
副業・兼業をはじめる動機はなんでしょうか?私たちが考える副業・兼業の魅力は以下です。
- ①経済的余裕
- ②失業リスクの軽減
- ③転職先の選択肢が増える
- ④キャリアアップ
それぞれについて簡単に説明させて頂きます。
①経済的余裕がほしい
老後の生活のことを考えたときに、会社から支払われる給料で十分だと言える人はどれくらいいるでしょうか?
現在、余裕のある老後を過ごすには年金を省いてもおおよそ3,000万円の貯蓄が必要と言われています。
頑張っても上がる保障のない会社の給与をアテにして生きるよりも、別の収入源が欲しいと考えたとしてもなんら不思議はありません。
会社は社員の老後までは保障してくれないのですから、自分の人生は自分で守るしかないというわけです。
②失業リスクの低減
正社員の場合、会社から一方的に解雇されるというのはあまりないことだとは思いますが、失業のリスクというのはやはりついてまわります。
もし、今の会社が倒産したら…もしなんらかの理由で退職せざるをえなくなったら…そういった不安はやはりあるでしょう。
ひとつの収入源に依存をしている場合、突然収入がゼロになる可能性というのがありうるわけです。
滅多にないにしても万が一のリスクに備えるというのは重要なことです。
③転職先の選択肢が増える
こちらは③とも関連しますが、収入源が複数あるということは、働き方の選択肢も増えるメリットがあります。
例えば、現状の生活を維持するのに毎月最低手取り30万円が必要な人がいるとしましょう。
その人が失業した場合、転職先に求める給与の条件は手取り30万円以上でなければなりません。
手取り25万円で雇ってくれる会社ならたくさんあるけれど、30万円になるとなかなかない…となれば、金額面でなかなか折り合いがつかないということになります。
こんなとき、副業収入が安定して5万円あったらどうでしょうか?
最悪、手取り25万円の給与でも生活を維持することができます。
そうなれば、手取り25万円の会社も選択肢に入ってくるため、より生きやすい環境を手に入れることになるのではないかと思います。
④キャリアアップ
これまでは比較的ネガティブな動機でしたが、副業にはキャリアアップというポジティブな魅力もあります。
会社員というのは、会社が求める仕事をすることが大半ですから、なかなか自分のキャリアを自由に選択するということは難しいと思います。
しかしながら、副業の方は自由です。
自分が仕事にしたいことをやって経験を積むことができます。
そしてその実績は自分自身に積み上げられてゆくのです。
こう見ると副業・兼業の魅力が大きいことを感じて頂けるのではないでしょうか?
また、個人の空いた時間を生産活動に利用して個人の収入が増えれば国全体の経済も活性化することが期待されます。
ですから、政府としても推進したいのではないかと思います。
サラリーマンの副業・兼業を阻むもの
ここまでで副業・兼業の有用性はご理解頂けたと思いますが、実際にはじめてみようと思うとそれほど簡単ではないことに気づきます。
それは、多くの企業はまだ副業・兼業を前向きにはとらえていませんし、副業・兼業可の企業であっても、会社の同意をもらう必要がある場合が多いからです。
例えば、自社の事業と競合するような業種はNGなどですね。
また、副業・兼業していることが周知となれば、何かにつけてそれをつつかれることが多くなることが懸念されます。
そんなこんなで、多くの場合、会社に隠れて副業・兼業をしようとするのですが、税制がそれを阻みます。
まず、副業をする場合には、会社の給与所得とは別に、事業所得分を確定申告する必要があります。
これだけでも尻込みしてしまう人はいると思います。
また、確定申告をしても、事業所得分の住民税を別で支払わないと、会社に合算の住民税の徴収がいってその金額で副業がバレてしまいます。
そして、住民税を別で支払ったとしても、あるタイミングで会社から納税証明書を求められたら副業がバレてしまいます。
そう考えると、今副業・兼業に手を出せる人というのはかなり限られていると言わざるを得ません。