ネットの風評被害対策サービスに関する所感

IT系の中小企業で風評被害対策のサービスをPRしているところをよく見かけます。試しにGoogleで「風評被害対策」で検索すると検索結果上部の広告枠(リスティング広告)にたくさんの会社の宣伝が出てくるでしょう。

風評被害とは、風評(世間の評判)によって経済的な被害を受けることを指し、こういった会社は主にネット上の風評被害に対して対策を講じるサービスを提供しているようです。

ネット上の風評は主に掲示板、ブログ、SNS、口コミサイトなどに掲載されるケースが多く、こういった情報の露出が高まると掲載された当事者は非常に迷惑ということになります。(Googleの検索フォームにネガティブワードがサジェストとして出てくる場合もあります)

風評被害はその内容が根拠のない誹謗中傷だったり、たとえ事実でも個人(芸能人の場合は判断が難しい)を特定して攻撃するようなものは非常に悪質です。こういった場合はその情報が掲載されているサイトに削除依頼をするか、弁護士に対応をお願いするのがよいだろうと思います。

ネット上に拡散した情報をすべて削除することは現実的には難しいのですが、まずは弁護士さんに相談してみることをお勧めします。

さて、それではネットの風評被害対策サービスをしている会社というのはなんなのでしょうか?基本的にこれらは弁護士が行うべき仕事に思われますね。

ネットの風評被害対策サービスを提供している会社がやっていることは、主にネット上の風評を”薄めてゆく”というもののようです。(もちろん弁護士は入っていると思います)

風評を薄めてゆく方法としては、”逆SEO”と呼ばれるテクニックを使います。

Google等の検索サイトがページを上位に上げるアルゴリズムは、ユーザーの行動をもとに求められている情報を優先して表示するしくみのため、事実ではない風評が記載されたページよりも評価されるようなページを量産して上位を埋めてゆくわけです。

具体的にはネガティブな内容を掲載しつつ、最後の方で”でも実はこれは事実ではない”といった否定で終わるものが効果的でしょう。

ターゲットのサイトの順位を落とす方法には低品質のサイトに大量の被リンクを貼るようなやり方もありますが、こういったやり方をする業者は避けるべきです。関わるとろくなことになりません。

さて、ここまでネットの風評被害と対策業者についてお話をしましたが、前述したようにこれらが適用されるのはあくまでも個人への攻撃だったり、事実と異なる内容を書かれた場合です。

もし実際にあった企業の不祥事について書かれたすればそれは風評被害ではありませんし、この事実を虚偽の情報で隠すとなれば倫理的にどうなのかと思います。

企業はこれは受け入れて改善をすべきで隠すべきではありません。また風評被害対策サービスを提供する会社もこういった依頼を受けるべきではないと思います。

ただ実際はどうなのかというとこれは少々怪しいと思います。

繰り返しになりますが個人情報は絶対だめです。ただ企業等の風評に関して言えば、最近はネットユーザーも賢くなっているので根も葉もないネット上の噂をどれだけ信じるかというと微妙なところだと思います。

であれば下手に風評被害対策サービスなどを利用せずに、企業としてメディアでしっかりと発信してゆくという方が効果的に思います。

怪しいブログを量産するのではなく、しっかり自社のWebサイトやオウンドメディアで情報発信をしてゆくことをお勧めします。

ということで、今回はよくあるネットの風評被害対策サービスについての所感について書かせていただきました。あくまでも個人の所感ではありますが、風評被害対策サービスの利用を検討中の方の参考になれば幸いです。

※おまけ
これはあくまでも可能性の話ですが、ネットの風評被害対策サービスを提供する会社は風評被害が多くなればなるほど儲かるビジネスということになります。そう考えると悪質な業者はターゲットの悪評をわざと流して営業をかけるというやり方をするかもしれません。

また逆SEOの技術があるのであればターゲットのサイトの順位を落としてSEOの営業を行うといったことも可能性としては考えられます。

これを実際にやっているかどうかは別として、そういうポジションにある業者であると理解をしておくことは事業者の自衛のためには有益だろうと考えています。

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